2015年7月30日木曜日

スティックPCのCPU「Z3735F」ってノートPCでいうと何年前の性能なんだろう?

最近スティックPCというものが話題になっているらしい。このちょっとでっかいUSBフラッシュメモリ
にしか見えないもののどこがPCなんだよと初見では思ったのだが、よくよく調べていくと、
どうやらこのHDMIの部分をTVモニターにぶっ刺して、無線のマウスとキーボードをつなぐと、
ご家庭のテレビがあっという間にPCに、という代物らしい。

う~ん、なるほど。普段からPCを使っている自分には全くもって刺さらない売りだな。
ただ、普段はテレビばかり観ているお父さんお母さんに買ってあげて、インターネットで調べ物を
するときはこれ使うんだよ、みたいな感じであれば選択肢になりうるのかもしれないね。

てか、それ以外の用途がまるで思いつかない。PCを普段から使う人ならコンパクトなノートPCを
持ち歩くほうが間違いなく便利だし。

で、ちょっと気になったのが、このスティックPCのCPUってノートPCでいうと何年前の製品と
同じくらいの性能なんだろうということ。その答え次第では型落ちPC買ってあげたほうが
安いんじゃないかと思ったので。ということでちょっと調べてみた。


まず、スティックPCは大きくは3社から出ているみたい。一番人気なのはCPUメーカーである
インテルが出しているファン付きのモデルで、あとはマウスコンピュータという自作PC関連
(もうちょっと正確にいうとBTO)で有名なメーカーのもの、そしてiiyamaというPCの液晶モニター
で比較的有名なメーカーのもの。もう一つ、I-O DATAというPC周辺機器メーカーが出して
いるものもあるんだけど、これはインテルのものと全く同じものだから除外でいいや。

で、これらのスティックPCのCPUを見ていってわかったのは、全部同じ「Z3735F」という
インテル製のスマホ用CPUを使っているということだ。メモリもいずれのモデルも2GBで
同じなので、スティックPCの違いはざっくりいえばファン付きかファン無しかの違いという
ことになる。

ファン無しのメリットは静かなこと、ファンありのメリットは、音がする代わりに動作が安定
すること。ノートPCで動画再生したことのある人は知っていると思うけど、動画再生は
やたら熱を発します。排熱があまり優れていないノートPCで1~2時間動画再生していたら、
熱くなりすぎてPCが固まるという経験を私は何度もしましたね。

なのでYouTubeを1時間とか観るような使い方をしうるなら、ファン付きにしておいたほうが
よいでしょう。インテル製のスティックPCがファン付きなのは、そうした特性を考慮しての
ことだと思います。


と、スティックPCに関してざっくり書いたところで話を戻しますが、この「Z3735F」っていう
CPUがノートPCのCPUでいうと何年前のモデル相当のものなのかを調べてみようと
思います。

ノートPC、どこのメーカーでもよいのだけど、一番シェアがありそうなNECのモデルで
見てみますか。CPUの性能は客観的な統一指標で数値比較をしている便利なサイトが
あるのでそれを使いましょう。
http://www.cpubenchmark.net/laptop.html

このサイトによると、スティックPCのCPU 「Z3735F」の性能数値は890。
NECの2015年夏モデルのノートPCで使われているCPUは、
ハイスペック機種がCore i7-5500で数値は3,942、
スタンダード機種がCore i5-5200Uの数値が3,525、
その下のスタンダード機種のCore i3-5005Uが2,991、
ということで、現在の2015年夏モデルのノートPCと比べると3~4倍性能に差があるようだ。

さて、これを地道にさかのぼって調べていくと、8年前の2007年夏モデルでようやく
「Z3735F」の890という数値と同じくらいの数値のものが出てきましたね。
LaVieC LC950/JJという32万円前後したハイスペックモデルがCore 2 Duo T7200で1,174、
LaVieC LC900/JGという25万円前後の中級モデルがCore 2 Duo T5600で1,031、
LaVieL LL850/JGという21万5000円前後の中級モデルがCore 2 Duo T5500で924、
LavieL LL750/JGという19万円前後の廉価版モデルがCeleron M 430で387、
ということで、8年前の中級モデル並のCPU性能であることが判明しました。

ベンチマークサイトの数値、再度一覧で抜き出してまとめておきます。
・2015年発売のスティックPCのCPU
Intel Atom Z3735F @ 1.33GHz 890

・NEC2015年夏モデルで使用のCPU
Intel Core i7-5500U @ 2.40GHz 3,942
Intel Core i5-5200U @ 2.20GHz 3,525
Intel Core i3-5005U @ 2.00GHz 2,991

・NEC2007年夏モデルで使用のCPU
Intel Core2 Duo T7200 @ 2.00GHz 1,174
Intel Core2 Duo T5600 @ 1.83GHz 1,031
Intel Core2 Duo T5500 @ 1.66GHz 924
Intel Celeron M 430 @ 1.73GHz 387

ということで、もちろんスマホやスティックPC用に最適化しているだろうから、数値そのまんま
の体感性能になるかはわからないけど、ベンチマークの数値的には8年前の2007年発売の
ノートPCレベルのCPU性能と、スティックPCのCPU性能はほぼ同じというのが結論。

ちなみに、できるだけ安い小型PCという選択肢で探している人はラズベリー・パイという
教育用に開発された格安PCを使うという手もありかもね。OSがリナックスだけど、
ネットサーフィンするのには問題ないし、5000円台で買えます。公式が出している使い勝手の
動画はこんな感じ。


ラズベリー・パイで選ぶなら、比較動画の通り、ブラウザの読み込みが速いラズベリー・パイ2
がおすすめ。


あくまでスティックPCで選ぶならファン付きのインテルのものがよいでしょう。
I-O DATAが出しているものはインテルのスティックPCにワイアレスのキーボードと
タッチパッド(マウスの代わり)が付いたセットのものがあるのでそれがよいかと。