2013年1月21日月曜日

野菜ジュースなどでよくある「1日分の野菜」の根拠って何だろう?

前々から疑問に思っていた野菜ジュースなどでよくある「1日分の野菜」っていう文言、
あれ一体誰が決めた量なんだ?と思って調べたら意外とすぐに見つかった。

21世紀における国民健康づくり運動(wikipedia)
21世紀における国民健康づくり運動(PDF資料)

これか!2000年に厚生労働省が国民の健康増進のために定めた目標数値ってことね。
これによると野菜を350g以上、特に緑黄色野菜を120g以上取ることが目標のようだ。
ただし、1997年の調査時点で成人の野菜の平均摂取量が292g、緑黄色野菜が98gある
ようなので、それを踏まえるとそんなに頑張って野菜ジュースをゴクゴク飲む必要も
無さそうな感じだね。

あれ、これよくよく考えたら根拠が希薄じゃないか?
目標数値の設定の仕方がそもそも健康に生きていくために必要な野菜の量が
実験の結果何グラムくらいだということがわかったから・・という観点での目標設定ではなくて、
単に1997年(平成9年)の平均摂取量を2割増しにしているだけだよね、野菜も緑黄色野菜も。

しかもこの「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」って2010年度までの期間の
目標だからもう終わってるし(笑)

結局健康に生きていくためには何を指針にして食生活を構成すればよいのだろうねぇ。
甘ったるい野菜ジュースを何本も飲んで達成すべき数値ではないことが判明してしまったわけだ。


どうやら野菜ジュースも栄養分足りてないものが多いっぽい。
名古屋消費生活センターの主な野菜ジュースの栄養素の検証(PDF)
上記、合計35銘柄のテスト結果をまとめると、

・カロテンに関しては果汁入りのものより野菜汁100%のタイプのほうが多い傾向
・ビタミンCを豊富に含んでいる野菜ジュースは殆ど無かった
・カリウムに関しては野菜汁100%のタイプのいくつかの銘柄は生野菜と同等量の含有
・カルシウムに関してはほとんどの銘柄が生野菜よりも含有が少ない
・マグネシウムに関しては果汁入りのものより野菜汁100%のタイプのほうが多い傾向

ということで、製造工程の加熱処理などにおいてビタミンCが失われてしまっているのと
野菜汁100%のタイプのほうが果汁入りのものより栄養価が高いことは言えそう。

国民生活センターの主な野菜ジュースの栄養素検証結果(PDF)
このテスト結果をまとめると、

・食物繊維に関してはほとんどの銘柄で生野菜での摂取の半分以下
・ビタミンA(効力)に関しては生野菜と同等量含んでいる銘柄もいくつかあり
・ビタミンCに関してはほとんどの銘柄で生野菜での摂取の30%未満
・カリウムに関してはほとんどの銘柄で生野菜での摂取以下
・カルシウムに関してはほとんどの銘柄で生野菜での摂取の半分以下
・鉄分に関してはほとんどの銘柄で生野菜での摂取の30%未満
・マグネシウムに関してはほとんどの銘柄で生野菜での摂取の半分以下

ということで、生野菜での摂取よりもかなり栄養分が低くなるようだ。
こちらのテストでは家庭用ジューサーで野菜ジュースを作った場合の栄養成分の
検証も行なっている。上記の野菜ジュースの栄養成分は家庭用ジューサーで作った
場合の野菜ジュースの成分分布に近く、ジュースにすることで食物繊維やβカロテンが
失われてしまうようだ。


いろいろ書いたが結論としては
・1日分の野菜というのは野菜350g、緑黄色野菜120gのことで、根拠は厚生省が2000年に
定めた「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」という目標設定によるもの。
単に1997年(平成9年)の成人の平均野菜摂取量を20%増ししただけ。

・市販の野菜ジュースは生野菜による摂取と比較して栄養が相当に低い。特に加工の過程で
ビタミンCと食物繊維はほとんど失われてしまう

ということで、ジュースは生野菜と比較して栄養分が少なくなってしまうようなので、素直に
生野菜を食べたほうがよいのかもしれない。