特許の検索方法を探していたら、副産物で固形はちみつの作り方が複数出てきたので、
せっかくなのでまとめてみようかと思う。ざっと探しても2つ見つかったのだが、
各特許に書かれている内容を見るに、固形はちみつの製造方法は複数あるようだ。
▼天然液状物の固形化物およびその製造方法
公開日:平成12年6月20日(2000/06/20)
出願人:扇雀飴本舗
内容:
極力歯にくっつかないようにして、普通の飴と同じような硬さになるように作る方法。
・この特許以前のはちみつ固形化の方法と欠点
-真空濃縮機の中で、温度を40~60度にして1時間かけて水分を除去する方法
欠点:水分の含有量が7.48%と多いので歯にくっつきやすく、変形しやすい
-真空濃縮機の中で、温度を40~90度にして1時間かけて水分を除去。その後プラスチックの
成形容器に入れ、冷却した後にアルミホイルでふたをする方法
欠点:上記の方法よりはましだが、まだ水分の含有量が5%と多くて歯にくっつきやすく、
変形しやすい
・今回の特許による方法
減圧下にて110~130度に1時間以内の加熱をしながら水分を除去することで、はちみつ等天然
液状物の水分を0.5~1.5%と劇的に減らし、ハードキャンディの形成装置を使って成形する方法
真空濃縮機というのは業界外にいる我々にとっては馴染みのない装置だが、 キャンディーを
作る際には比較的汎用な装置のようだ。単純な温度設定だけではちみつや果汁などの固形化
をできるようにしたところがこの発明の画期的なところらしい。
▼固形はちみつの製造方法
公開日:平成15年10月28日(2003/10/28)
出願人:ビーケー株式会社
内容:
はちみつを風味等品質の劣化をさせずに固形化させる方法。
・この特許以前のはちみつ固形化の方法と欠点
-真空濃縮機の中で、温度を40~60度にして1時間かけて水分を除去する方法
欠点:加熱温度が低いので、風味等の劣化はあまりないものの、真空濃縮釜で加熱、脱水を
行う非連続的な方法なので生産効率が悪い
-真空濃縮機内で100度以上にして1時間以内の加熱をして水分除去をし、ハードキャンディー用
の成形装置を使って固形化をする方法
欠点:加熱温度が高くて処理時間が長いので、風味等品質の劣化がある。また、真空濃縮釜で
加熱、脱水を行う非連続的な方法なので生産効率が悪い
・今回の特許による方法
はちみつを密閉加熱装置で100~150度で1分以内の加熱をし、その後真空下の蒸発室に移して
はちみつの水分を除去してから成形する方法。こちらの方法では水分の含有量を2%以下や1.5%
以下にできるとのこと。
こちらの特許は扇雀飴本舗のものよりも新しく、ちょっと論点が違う。扇雀飴本舗のは今までの
方法は水分が多くて歯にくっつくことを問題にしていたのに対して、こちらの特許は同じ釜で加熱
と脱水を行う非効率性と100度以上の長時間加熱による品質の劣化の解決を論点にしている。
水分の含有量は1.5%以下にできるようなので、歯にくっつくとかの問題も、記載を見る限りは
解決できそうに思える。
結論としては、家庭でも鍋ではちみつをコトコト煮込めば固形化すること自体はできるのかも。
度々登場した真空濃縮機というのはこういう機械らしい。
http://www.crc.mie-u.ac.jp/mie-shokuhatsu/kiki/list-2/kiki_detail28.html
こんなの絶対家庭に置いてないわな。加熱しながら真空下で水分を飛ばす機械のようだ。
現実的にははちみつにペクチンを入れて混ぜてから電子レンジで加熱して、混ぜて加熱してを
繰り返してゼリーみたいな感じの固形物にする方法がよいのかも知れない。
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