携帯のメールアドレス宛に来る迷惑メールを速攻で止める方法があるので紹介をしようと思う。
結論から書くと、whoisというドメイン管理者の情報がわかるサイトでドメイン管理者、
またはWhois情報公開代行業者を特定した上で、ドメイン管理者が公開されている場合は
ドメイン管理者に直接連絡し、公開情報がWhois情報公開代行業者であった場合は、
該当業者の「プロバイダ責任制限法相談窓口」に対処の依頼をすればよい。
上記の説明だとなんのこっちゃのなる人も多いと思うので、順を追って説明をする。
まずはありがちな効果のない方法を最初に記載しておこう。
■効果のない方法
・迷惑メールフィルター設定
効果が無いというと言い過ぎなのだが、近年の携帯アドレス宛に届く迷惑メール対策で
実質意味をなしていないのがこれ。なぜかというと業者は捨てドメインのようなものを
大量に取得して、毎回違うドメインから迷惑メールを送ってくるから。
最近届いた迷惑メールの送信アドレスの例を挙げると、
****@seq9.e4c9b.com
****@arsb.rpbae.com
****@eunc.73ri3.com
****@y3fs.ecngf.com
****@phqg.5egxy.com
****@t5mc.5triw.com
などなど、これが2,3日の間に届くわけだから、迷惑メールフィルターのドメイン指定などでは
対処のしようがないのだ。
・各キャリアの窓口への通報
docomo、au、softbankの各通信キャリアには携帯アドレス宛に届く迷惑メールを通報する
窓口がある。一応窓口のURLを載せておこう。
ドコモの迷惑メール通報窓口
auの迷惑メール通報窓口
ソフトバンクの迷惑メール通報窓口
しかし、これも残念ながらあまり効果はない。というのは、上記迷惑メールフィルター設定が
意味をなさないのと同様で、迷惑メールが送られてくるドメインが毎回違うので、
対処のしようがないのだ。
ということで、上記、携帯アドレスへの迷惑メールが届いたときに最初に思いつく方法が
効果が無い理由を紹介した。ここからは、私が速攻迷惑メールを泊めた方法を紹介する。
■whoisで迷惑メールドメインの管理者を特定する
whoisというのは何かというと、インターネットで公開することが義務付けられている
ドメイン管理者の情報を閲覧できるサービスのこと。whois情報を閲覧できるサイトは
いろいろあるのだが、.comや.jpなど複数のドメインを横断して調べるなら下記のサイトが
便利。
http://whois.ansi.co.jp/
上記サイトの検索窓にドメイン情報を入力すると管理者の情報がわかる。
試しに2つほど例を挙げよう。
・rakuten.co.jpのドメイン管理者を特定(ドメイン管理者の情報が特定できる例)
ドメイン検索結果は下記の通り。
http://whois.ansi.co.jp/rakuten.co.jp
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Contact Information: [担当者情報]
a. [JPNICハンドル] TK29460JP
b. [氏名] 金子 俊晴
c. [Last, First] Kaneko, Toshiharu
d. [電子メイル] toshiharu.kaneko@mail.rakuten.com
f. [組織名] 楽天株式会社
g. [Organization] Rakuten,Inc
k. [部署] ネットワーク構築・運用グループ
l. [Division] Network Development & Operation Group
m. [肩書] マネージャー
n. [Title] Manager
o. [電話番号]
p. [FAX番号]
y. [通知アドレス] nic@mail.rakuten.com
y. [通知アドレス] domain@thomsonbrandy.jp
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この例は楽天のドメイン管理者が誰なのか、連絡先がどこなのかが直接特定できる例。
・****@seq9.e4c9b.comのドメイン管理者を特定
(ドメイン管理者がWhois情報公開代行業者になっており、直接特定ができない例)
ドメイン検索結果は下記の通り。
http://whois.ansi.co.jp/e4c9b.com
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Registrant Name: Whois Privacy Protection Service by VALUE-DOMAIN
Registrant Organization: Whois Privacy Protection Service by VALUE-DOMAIN
Registrant Street1: Chuo-ku Minamisenba 3-1-8
Registrant Street2: MinamiSenba Dream bldg.
Registrant City: Osaka
Registrant State/Province: Osaka
Registrant Postal Code: 542-0081
Registrant Country: JP
Registrant Phone: +81.662416585Registrant Phone Ext:
Registrant Fax: +81.662416586
Registrant Fax Ext:
Registrant Email: whoisproxy@value-domain.com
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GMOだのバリュードメインだのといった情報が出てきた場合、それはスパムメールを
送っている当人が情報を公開したくないので、Whois情報公開代行業者に依頼を
して、代わりにwhois情報を載せさせているということだ。
前者のようにドメイン管理者が公開されている状態であれば、管理者に直接連絡をして、
迷惑メールを止めさせるなり、訴訟を起こして損害賠償請求を行うなどの処置を
粛々と行えば良い。
ただ、実際に多いのは後者の、Whois情報公開代行業者の情報になっている場合であろう。
その場合も別にやることはそれほど変わらない。
各代行業者の「プロバイダ責任制限法相談窓口」に連絡をすればよいだけだ。
GMOと、その子会社GMOデジロック社の「プロバイダ責任制限法相談窓口」は下記。
http://ir.gmocloud.com/contact/provider/
ここからは私が実際に送った内容とGMO社、及びバリュードメインサービス運営元の
GMOデジロック社の対応を載せておこう。
■Whois情報公開代行業者に迷惑メール対処を依頼する実例
・私が送った内容
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■ お問い合わせ内容
seq9.e4c9b.com
arsb.rpbae.com
少なくとも上記2つのドメインから私の携帯メールアドレス宛にスパムメールが送られてきており、whoisで検索をしたところ、御社がRegistrarになっていることが判明しました。
該当業者への法的措置を検討したいので、スパムメール配信業者の開示をお願い致します。スパムメールの内容、ヘッダー等、追加で必要な情報があれば適宜追加でご連絡します。よろしくお願いいたします。
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もしこれでロクな返答がなければ、「プロバイダ責任制限法」の担当省庁である総務省に
連絡をする、もしくはGMO社に法的措置を検討すればよいだけの話。ただ、今回GMO社の
対応は非常に早かった。
・GMO社の返答
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ご担当者様
お世話になっております、GMOクラウドでございます。
今回ご申告いただきましたサーバーですが、弊社のグループ会社にて
運用しておりますサーバーになりますので、該当サーバーの管理元に
報告をいたしました。
こちらの対応などに関しましては、該当サーバーの運用元より
別途ご報告をさせていただきますので、暫くお待ちいただきますよう
お願い申し上げます。
以上、よろしくお願いいたします。
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ということで、今回はGMO子会社のバリュードメインが担当部署だったようだ。
その日のうちにバリュードメイン社から連絡が届く。
・GMOデジロック社の返答
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お世話になっております。
GMOデジロック株式会社の**です。
GMOインターネット株式会社様へお問い合わせの
ドメイン名:e4c9b.com / rpbae.comの件について
ドメイン契約者に対して、警告後、何らかの対応を行います。
しかし、調査の結果、他社での発信、ホスティングのため、
サーバーを停止することができません。この点はあらかじめご理解ください。
以上、よろしくお願いいたします。
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ということで、ドメインの管理はGMOデジロック社であるものの、サーバーの管理は
別のところが担当しているのでサーバーそのものを止めることはできなかったようだ。
また、今回のやりとりではスパム業者の情報自体は教えてもらえなかった。
まぁ、ただそれはいい。こちらとしてはスパムメールが来なくなればそれでいいのだ。
もろもろ調査、対応に時間がかかるであろう訴訟等に、こんなくだらないことのために
時間を掛けたいわけではない。スパムが止まらないなら本腰入れて工数を投入せざるを
得ないので、損害賠償で得られる金額の期待値調査から始めたかも知れない。
GMOデジロック社からはスパム業者に連絡がいったようで、スパムメールはすぐに
止まった。翌日GMOデジロック社から届いたメールが下記。
・GMOデジロック社からの返答
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お世話になっております。
GMOデジロック株式会社の**です。
GMOインターネット株式会社様へお問い合わせの
ドメイン名:e4c9b.com / rpbae.comの件について
お客様より以下のご連絡がございました。
ご指摘を賜りました件に関して、既に対応済みでございます。
対象のドメインからのメール配信を停止致しました。
以上、よろしくお願いいたします。
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ということで、無事スパムメールを速攻で止めることができた。もう一度手順をまとめよう。
1.スパムメールのドメイン管理者情報をwhois情報検索サービスで確認する
http://whois.ansi.co.jp/
2.ドメインの管理者、またはWhois情報公開代行業者に連絡をする。
Whois情報公開代行業者がGMO、または子会社のGMOデジロック社なら連絡先は下記。
http://ir.gmocloud.com/contact/provider/
という2ステップでOK。GMO社、子会社のGMOデジロック社は非常に対応が早かったが、
もしドメイン管理業者、Whois情報公開代行業者がロクな対応をしなかった場合は
総務省に連絡をするのがよいだろう。
総務省「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の概要」
つまり、スパム業者はドメイン管理業者やサーバー管理業者に首根っこを掴まれており、
ドメイン管理業者は総務省に首根っこを掴まれているので、それぞれの業者の弱点に
当たる組織に連絡をすれば、迅速に対応がなされるということである。
ちょっと追記。
ドメイン管理やWhois情報公開代行業務の大手、GMOデジロック社(バリュードメイン運営元)と
何度かやり取りを行ったのだが、迷惑メールの問題は十分認識していて、かなり能動的に
対応を行っているようだ。最初はドメインの停止依頼をしても、どうせ連絡をしても
一個のドメインを止めるだけみたいな受動的な対応をしているのだろうと思っていたのだが、
そもそもそういった業者にドメインを取得させないような試みも行っているようで、スパムへの
取り組み姿勢には感銘を受けた。一部GMOデジロック社のやり取りの内容を載せておこう。
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頂きました内容についてですが、迷惑メールの配信が複数回確認でき、弊社側からの
警告に対応がない契約者に対しては、ユーザーの強制解約、および、全ドメインの
停止等を行っております。
迷惑メールの配信前に止めたいという所であるのですが、殆どのケースで、
配信サーバーが他社管理下にあり、特定が出来ず、即時停止に足りうる証拠が
ないため、過去のパターンから迷惑メールを送る危険性があると判断できた
ユーザー様には、警告を送り対応があるかないかを判断してからの措置と
ならざるをえない状況です。
配信後に迷惑メールの報告がある場合、前述の通り、警告をした上で、
ユーザー契約の即時停止や、個別または全ドメインの停止措置を実施しています。
止められるのが前提で、かつ、48時間ぐらいドメインが生きていれば
問題無いというような意図も感じ取られるため、そもそも登録させないこと、
また、判明時点で即時停止を行っています。
また、最近は弊社で囮メールを用意して、そこに送られているような
ドメインがあれば警告・停止をするといった能動的な対応を進めています。
ご理解いただければ幸いでございます。
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