時計のガラスには大きくサファイアガラスとミネラルガラスの2種類がある。
サファイアガラスというのはつまりは人工サファイアのことだ。
ミネラルガラスは、いわゆるガラス、普通のガラスだ。
一般的にサファイアガラスが高価だが傷が付きにくく、ミネラルガラスは安価だが傷が
つきやすいと言われている。ところでそれぞれどんなものなら傷が付くのだろう?
それを示すわかりやすい指標がモース硬度だ。これは2つの物質を擦って、傷がついた
方のモース硬度を低くするというやり方で決めた硬度で、数字と物質的な硬さは比例して
いるわけではなく、あくまで硬さの順序関係を示しているに過ぎない。
標準物質のモース硬度は
1:滑石(かっせき、タルク)
2:石膏(せっこう)
3:方解石(ほうかいせき、カルサイト)
4:蛍石(ほたるいし、フローライト)
5:燐灰石(りんかいせき、アパタイト、人口骨の原料)
6:正長石(せいちょうせき)
7:石英(せきえい、クォーツ、水晶のこと)
8:黄玉(おうぎょく、トパーズ)
9:鋼玉(こうぎょく、コランダム、ルビーやサファイアはコランダムの一種)
10:金剛石(こんごうせき、ダイヤモンドのこと)
となっている。ちなみにエメラルドは7.5から8程度とのこと。
さて、この標準物質のモース硬度だけだと、ガラス(ミネラルガラス)や鉄など、
身の回りの物質のモース硬度が記載されていないので、何が何に傷をつけることが
できるのかがわかりにくい。ということで、もっといろいろな物質のモース硬度が載っている
資料を探したところ、下記のサイトが詳しいことがわかった。
各種物質の硬度(モース硬度)
物質の硬度
これを元に見ていくとしよう。
まずサファイアガラスのモース硬度はサファイアと同じなので9だ。
つづいてミネラルガラスのモース硬度は4.5~6.5となっている。
ガラスの原料は石英ではあるが、ガラスは結晶ではなく、また石英以外の混ぜ物もあるため、
石英のモース硬度の7よりも弱くなっているところには注意が必要であろう。
さて、では身の回りにあるかもしれない代表的な物質を先のサイトからいくつか
抜き出すことにしよう。
アスファルト:2
セメント:3
大理石:3~4
銅:4
------------ミネラルガラスが傷つかないライン
鉄:4~5
アスベスト:5
軽石:6
工具鋼:6
鋼:5~8.5
------------サファイアガラスが傷つかないライン
紙やすり:8~9
ということで、ミネラルガラスだと、そこら辺の鉄製品で傷がつく可能性が比較的
高いことがわかる。一方サファイアガラスだと、紙やすりで頑張れば傷をつけることが
できるかもしれないが、それ以外は身近な物質だとほぼ傷がつかないことがわかる。
時計の風防にはサファイアガラスがベストというのが改めてわかる結果になったかと。