http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20130228-00000029-nnn-pol
アジア開発銀行って何?と思ったので調べて見ることにする。
アジア開発銀行というのは、一言で言うとアジアの発展途上国への投資・融資を目的に
設立された銀行とのこと。略称のADBはAsian Development Bankの略。
アジア開発銀行はホームページを持っているので、1次ソースに当たりたいなら下記を
見るのがベスト。
アジア開発銀行駐日代表事務所ホームページ
アジア開発銀行ホームページ(英語)
まぁ上記は英語の情報が多かったりするので、日本語でコンパクトに概要がまとまって
いる情報なら下記が一番うまくまとまっていたと思う。
NGO「環境・持続社会」研究センター(JACSES)「アジア開発銀行(ADB)とは?」
他、この辺とか。
Wikipedia「アジア開発銀行」
iFinance世界経済用語集「アジア開発銀行」
上記ソースなどを元に私自身でもまとめてみようと思う。
▼アジア開発銀行とは?ざっくり概要
「アジア・太平洋地域の発展途上国の貧困からの開放」を目的として設立された金融機関。
本部はフィリピンのマニラにある。なんでフィリピンになったかは調べてもわからなかった。
発展途上国の中で英語が広く使われている国だからだろうか?
▼アジア開発銀行の主な出資先
上記の参考サイトの資料が古いので、最新の2011年のデータを元に出してみる。
Statement of the Asian Development Bank's Operations in 2011
出資先の国名 | 出資額(百万ドル) | 出資額全体からの割合 |
ベトナム | 3604.6 | 17% |
インド | 3126.7 | 14% |
パキスタン | 2886.0 | 13% |
バングラディッシュ | 2292.5 | 11% |
中国 | 1592.9 | 7% |
ウズベキスタン | 1398.7 | 6% |
タイ | 1090.8 | 5% |
インドネシア | 809.3 | 4% |
アゼルバイジャン | 643.6 | 3% |
ネパール | 620.9 | 3% |
総計 | 21717.6 | 100% |
出資先の国は、昔は中国とインドだったようだが、今はベトナム、インド、パキスタンへの
出資が特に多いようだ。アゼルバイジャンというのは今回はじめて知ったが、旧ソ連の
カスピ海の西にある国。
▼アジア開発銀行のメンバーと議決権
アジア開発銀行は1966年(昭和41年)に31カ国のメンバーの共同出資で設立され、
現在は67カ国、うちアジアの国が48カ国、残り19カ国がアジア以外の国という構成。
http://www.adb.org/about/members
上記ソースによると、出資比率と、それにほぼ対応した議決権の力関係があるようだ。
議決権ベースで言うとアジア諸国が全体の約3分の2、残りの3分の1がその他欧米など。
国別に議決権上位のところをピックアップすると、2011年のデータでは
出資国 | 議決権(%) |
日本 | 12.82 |
アメリカ | 12.82 |
中国 | 5.47 |
インド | 5.38 |
オーストラリア | 4.94 |
カナダ | 4.50 |
インドネシア | 4.44 |
韓国 | 4.34 |
ドイツ | 3.77 |
マレーシア | 2.48 |
となっている。日本とアメリカで約4分の1のこの2つの国の意向が大きく反映される構造に
なっているようだ。アジア開発銀行の歴代の総裁が今のところすべて日本人なのも上記の
構造によるものかと(アメリカはアジアの国ではないから総裁になることができない)。
▼アジア開発銀行で働くには?
スタッフは常時募集をしているようだ。ただしかなり要求条件は高そう。
アジア開発銀行職員募集ページ(英語)
条件は以下。
・アジア・太平洋地域の国の発展に貢献できること
・アジア開発銀行の加盟国のいずれかに所属していること
・高い学歴を保持していること。修士以上が望ましい
・高い専門性と経験を保持していること
・発展途上国で働いた経験を持っていること
・高い英語力を保持していること
・異なる国や文化の人と一緒に働くことができること
32歳以下ならもうちょっと条件が低くても3年の期間限定職員に応募することができるようだ。
ADB Young Professionals Program (YPP)
給料などの条件はこの辺。
What We Offer(英語)
給与体系は現地スタッフと国際スタッフでかなり条件が違う。
現地スタッフだと年額9600ドルからになるので1ドル90円で計算すると86万とかパートかよ!
って感じの金額。国際スタッフは条件はかなり良い。
先ほどの期間限定職員でも、年額72600ドル(650万)から始まり、正規職員なら90400ドル(810万)
以上になる。ちなみに職員のマックスは315900ドル(2840万)とのこと。
アジア開発銀行の室長をしている人の下記の講演の記事などは、どういうキャリアを歩めば
アジア開発銀行の職員になれるかという具体例なので参考になるかも。
世界銀行東京事務所「アジア開発銀行で働く」
駐日代表事務所にも日本人スタッフの声があるのでこれも参考に。大雑把に都市開発系か
教育系の専門の人が多そうな感じ。
ADB日本人職員の声(日本語)
▼アジア開発銀行の問題点
いろいろ見ている中で、一つ見つかったので参考までに。
メコン・ウォッチ「アジア開発銀行は本当に必要なのか?」
上記のサイトではアジア開発銀行の出資に関する問題点を指摘している。主な問題点は2つ。
・存在目的が途上国の貧困削減にもかかわらず、中国、インドなど中所得国への投資が多い
・貧困国向けの事業で住民の生活や自然環境に悪影響を与えているものもある
具体的な事例は上記のリンク先を参照。
リンク先を見ていてちょっと思い出したのが、伯父が国際協力事業団(JICA)に勤めていたことが
あって、国がやっている支援は現場の状況に即していないことがよくあり、頭の良い人は
そこに不満を持って辞めていくみたいな話をしていたが、この銀行に関してもそうした問題点は
あったりするのかねぇ?ちょっとそこは気になった。
ということで、いろいろとまとめてみたが、この銀行、発展途上国の支援とかを勉強した人に
とっては有名なのかも知れないね。あと、どういう観点で出資先の配分を決めているのか、
その辺も気になった。昔はインドと中国が多かったが、最近はベトナムやパキスタンが多い
ようだし、GDPの成長が著しいところに集中投資をするとか、何かしらの判断基準はありそう。